『特許庁が遵守すべき目標』が公表されました
今年度も早いもので1カ月を過ぎましたが、平成28年度は、職務発明制度の見直しをはじめとする法改正の施行、特許法条約や商標法に関するシンガポール条約への加入など、知財を取り巻く環境が大きく変化する年になると思われます。当事務所につきましても、そのような変化に対応できるように努めて参ります。
さて、特許庁が毎年、「遵守すべき目標」を公表しているのをご存知でしょうか。世界最速・最高品質の審査体制に向けて掲げられた内容となっており、今年度の目標についても既に公表されています。
今年度の目標のうち、特に注目すべき事項は、以下の通りです。
・特許の審査に関して、今年度に一次審査が行われる案件(早期審査を求める場合を除く)の一次審査通知までの平均審査期間が11カ月を切るようにする。
・意匠の審査に関して、今年度に一次審査が行われる案件(国際意匠登録出願を除く)の一次審査通知までの平均審査期間が6.3カ月を切るようにする。
・商標の審査に関して、今年度に一次審査が行われる案件(新しいタイプの商標の出願を除く)の一次審査通知までの平均審査期間が4.9カ月を切るようにする。
上記内容を含め、今年度の目標の詳細については下記URLにてご確認ください。 http://www.meti.go.jp/policy/policy_management/jissityou-hyouka/28fy-mokuhyou/28fy-mokuhyou-kagami.html (経済産業省ウェブサイト)
上記の目標値は、他の先進国での審査期間と比べてもかなり短く、例えば特許に関して言えば、米国のFA期間が17.3カ月(2015年の暫定値※)であることを考慮すると格段に短くなっています。そして、上記の目標値が達成されれば、出願してからの経過時間が非常に早い段階での権利取得が可能となります。また、権利取得の早期化に伴って、権利期間がより長く確保される結果、権利活用の場面も増えてくると予想されます。
以上のような状況を踏まえて考えると、上記の審査期間をはじめ、知財管理速度への影響因子に関して最新の動向を把握し、各時点での潮流やスピード感に合わせて行動することが今後の知財業務において益々重要になってくると思われます。そのために、弊所でも国内外における知的分野の情報を積極的に収集し、企業等で知財管理を担当されている方にとって有益な情報を適宜配信して参ります。
※Performance and Accountability Report Fiscal Year 2015より