知的財産アナリストのご紹介 (2021.7.15)

弁理士の石川勇介です。最近、「知的財産アナリスト」という資格に興味を持ち、2カ月間にわたる認定講座を受講し、認定試験に合格しまして「AIPE認定 知的財産アナリスト(特許)」として認定されましたので、ご報告とともに当該資格について簡単にご説明したいと思います。

1)知的財産アナリストとは
知的財産アナリスト」とは、①企業経営、②ファイナンス、③知的財産に関する専門知識を有し、国内外の他社、自社の知的財産関連情報の収集、分析、評価、加工、知的財産あるいは企業の価値評価等を通じて、企業の戦略的経営に資する情報を提供できる特殊スキルを持つ職種のことをいいます。
特に、「知的財産アナリスト(特許)」は、特許情報分析を含む知的財産情報分析のスキルを有し、モノづくり領域における経営と知財を結ぶ専門人材であって、最近注目されている「IPランドスケープ」業務の担い手として期待されています。
(2021年6月時点で「AIPE 認定知的財産アナリスト(特許、コンテンツ)」の人数は、特許「1027名」、コンテンツ「209名」となっています。)

2)知的財産アナリスト認定講座を受けてみて
本認定講座では、「知財アナリスト概論」から始まり、「企業戦略」、「知財戦略」、「知財情報解析」、「知財情報戦略」及び「知財ファイナンス」に至るまでの専門知識を体系的に学ぶことができます。
受講者のバックグラウンド(弁理士、中小企業診断士、証券アナリスト、公認会計士等)がそれぞれ異なる中で、科目ごとのワークショップやケーススタディを通じて、あるいは科目受講後の交流会を通じて意見交換や人脈が広げられることも、貴重な機会になるものと思います。

認定講座を受講した後は、認定試験として課題レポートを作成すべく、各種検索・分析ツールを無償で利用することができます。例えば、分析ツール「パテントマップEXZ」を利用して種々のパテントマップを作成し、また分析ツール「Orbit」を利用して特許俯瞰マップ等の高度なマップを作成することも可能です。さらには検索ツール「SPEEDA」を初めて利用したのですが、種々のビジネス情報をスピーディに収集することができます。
課題レポートではC評価以上の成績を取る必要があるところ、当該課題レポートの作成に40時間程度を要しましたが、徹夜の甲斐もあってA評価の成績を取ることができました。

<パテントマップのご参考>


3)知的財産を経営に活かすために
近年、企業等における知的財産を事業に活かす「知財経営」の取り組みが注目されており、特許庁や経済産業省では、知的財産を経営に活かす知財活用事例集を紹介しています。
この「知的財産アナリスト」の資格の取得を通じて、知財経営の足掛かりとなる知識を体系的に学べるほか、同じ志をもつ人脈を広げられることは、今後の知財実務に大いに役立つものと思います。

弁理士 石川勇介