【連載⑦】XR技術の特許出願状況(医療・リハビリテーション)(2021.11.17)
IPデータ集No.12のご紹介【連載⑦】をお届けします。
今回の内容は、第2部より、XR技術の特許出願状況(医療・リハビリテーション)について、解析した内容の一部抜粋となります。
前回の記事をご覧になっていない方は、「【連載⑥】XR技術の特許出願状況(アミューズメント)」もぜひご覧ください。
※IPデータ集にご興味のある方は、IPデータ集のページ(https://www.tectra.jp/ipdata/)をご覧ください。
- <目次>
- 第2部 知財に関するデータ分析 / IP Data Analysis
- 第2章 XR技術の特許出願動向 / Current patent trends in XR technology
- 第2節 医療・リハビリテーション / Healthcare・Rehabilitation Industry
- 1 背景 / Background
- 2 データ抽出条件 / Data Extraction Methods
- 3 医療・リハビリテーションに関する特許出願動向 / Patent Trends in Healthcare and Rehabilitation Industry
第2章 XR技術の特許出願動向 / Current patent trends in XR technology
第2節 医療・リハビリテーション / Healthcare・Rehabilitation Industry
1 背景 / Background
近年のXRの発展に関しては冒頭に述べたとおりである。医療・リハビリテーション分野の現場においてもXR活用の機運は高まっており、その市場規模は2021年に約153億円、2026年には約342億円になると予測されている1)。
2018年3月の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」2)の発出により、遠隔医療のうちオンライン診療の普及が法的にも整備され、国内におけるXR市場の拡大が見込まれる。
また、新型コロナウイルス感染拡大による、遠隔医療のニーズの高まりも市場拡大の追い風となることが予想される。さらに感染拡大により、実習の場を奪われた医療を学ぶ学生に対し、VR技術を使った疑似体験する実習が行われる3)など、XRは医療に関する様々な場面における活用が進められている。
本節においては、医療・リハビリテーション分野においてXRの特許技術の動向についてレポートする。
- 1)シード・プランニング調査 (URL:https://www.seedplanning.co.jp/press/2017/2017073101.html)
- 2)厚生労働省 (URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000534254.pdf)
- 3)NHK (URL:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210127/k10012835551000.html)
2 データ抽出条件 / Data Extraction Methods
Panasonic Patent SQUAREで、2021年4月1日時点において公開されている1991年1月1日~2018年12月31日までに特許出願された国内特許(実用新案を含む)に関する情報を取得した。
なお、解析において下記のテーマ、FI及びFターム(いずれも下位階層含む)が付与されている範囲を関連する範囲とし、下記のテキストが含まれている特許文献を抽出した。
- A61B (診断;手術;個人識別)
- A61C (歯科;口腔または歯科衛生のための用具または方法)
- A61F (血管へ埋め込み可能なフィルター;補綴;人体の管状構造を開存させるまたは虚脱を防ぐ装置)
- A61H (物理的な治療装置)
- A61M (人体の中へ,または表面に媒体を導入する装置)
- A61N (電気治療;磁気治療;放射線治療;超音波治療)
- A63B (身体の鍛錬、体操、水泳、登はん、またはフェンシングのための装置;球技;訓練用具)
- 3C007AS35 (マニプレータ・ロボット 医療用)
- 3C707AS35 (マニプレータ 医療用)
- 5B084BA10 (計算機間の情報転送 福祉)
- 5E555BA22 (デジタル計算機のユーザインターフェイス 医療用)
- 5E555BB22 (デジタル計算機のユーザインターフェイス 医療用機器)
- 5C164FA28 (双方向TV,動画像配信等 医療,介護)
- 5B050AA02 (イメージ処理・作成 生物、医学関係)
- 5B057AA07 (画像処理 医療)
- 2C032CA00 (教示用装置 医学用)
- 2C032CB00 (教示用装置 動物学用)
- 5L096BA06 (イメージ分析 医療)
- 5C182AB12 (表示装置の制御、回路 医療用)
- 5C082AA04 (表示装置の制御、回路 医療用)
- 5C054HA12 (閉回路テレビジョンシステム 医療)
- 5C122DA25 (スタジオ装置 福祉用/医療用)
- 5C122DA26 (スタジオ装置 内視鏡/孔内鏡)
- 5K201BA19 (電話通信サービス 福祉、医療)
- VRに関するテキスト
仮想現実、バーチャルリアリティ、バーチャル・リアリティ、ヴァーチャルリアリティ、ヴァーチャル・リアリティ - ARに関するテキスト
拡張現実、オーグメンテッドリアリティ、オーグメンテッド・リアリティ - MRに関するテキスト
複合現実、ミクストリアリティ、ミクスト・リアリティ - SRに関するテキスト
代替現実、サブスティテューション・リアリティ、サブスティテューションリアリティ、サブスティチューショナル・リアリティ、サブスティチューショナルリアリティ
3 医療・リハビリテーションに関する特許出願動向 / Patent Trends in Healthcare and Rehabilitation Industry
(1)特許出願件数の推移 / Trends of Patent Applications
上のグラフは特許出願件数の推移であり、青色のグラフは全文中にXRに関するテキストが含まれる特許、ピンク色は名称、要約、請求項中にXRに関するテキストが含まれる特許の出願件数を示す。
全文中にXRに関するテキストが含まれる特許の出願件数の推移をみると、2013年頃までは毎年50件程度で推移していたが、その後急速に増加している。医療・リハビリテーション分野においては、第1次VRブームと呼ばれる1990年代は出願件数に大きな変化は見られなかったが、その後の第2次VRブームが始まった2010年代初頭より増加が見られる。第1次VRブームでは、ゲーム機等の一部の分野で商用化されたが、低コントラスト、サイズ、センサの低精度による酔い、高コストなど様々な技術課題があったため、普及には至らなかったと言われている。第2次VRブームでは、これらの課題を解決すべく技術開発が進み、ゲーム以外の分野への応用開発が行われるようになったのではないかと思われる。一方で、最新の2018年でも出願件数は、全文中にXRに関するテキストが含まれるもので240件程度、名称、要約、請求項中にXRに関するテキストが含まれるもので60件程度とまだ少ないのが現状である。
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※詳細については、ぜひ IPデータ集No.12 PDF版(https://www.tectra.jp/ipdata/)をご覧ください。
◆No.12 第2部より抜粋◆
- <次回予告>
- 第2部 知財に関するデータ分析 / IP Data Analysis
- 第2章 XR技術の特許出願動向 / Current patent trends in XR technology
- 第3節 教育 / Training
- 1 背景 / Background
- 2 データ抽出条件 / Data Extraction Methods
- 3 教育に関する特許出願動向 / Trends in Patent Applications Related to Training
● ● ● IPデータ集No.12 ご紹介のTOPICS連載シリーズ ● ● ●
【連載①】IPデータ集のご紹介と、第1部より日本・世界の知財、経済指標、技術分野別の知財動向 (2021.9.27)
【連載②】AI分野の出願状況(日本)(2021.10.13)
【連載③】AI分野の出願状況(中国)(2021.10.20)
【連載④】AI分野の出願状況(台湾)(2021.10.27)
【連載⑤】XR技術の特許出願状況(総説)(2021.11.2)
【連載⑥】XR技術の特許出願状況(アミューズメント)(2021.11.10)
【連載⑦】XR技術の特許出願状況(医療・リハビリテーション)(2021.11.17)
【連載⑧】XR技術の特許出願状況(教育)(2021.11.24)←NEXT