特許(一般的内容)に関するご質問
Q01:特許出願のメリットとデメリットについて詳しく教えて下さい。
メリット
特許出願を行えば、対象製品に対して「特許出願中」と表記することができますので、技術力が高いことをアピールすることができます(宣伝効果)。
また、特許を受けられれば、特許権に基づき、第三者の実施を排除することができます。
デメリット
特許出願は、特許取得可否にかかわらず、出願から1年半経過後に公開されますので、そこに開示されている内容は誰でも参照することができるようになります。
したがいまして、技術内容を第三者に知られてしまうというデメリットがあります。
ノウハウとして保護したいような技術については特許出願しないことをお勧めしています。
Q02:急いで特許権を取得したい場合に活用できる制度はありますか。
早期審査制度を利用することにより、早期に審査が行われます。
出願審査請求をされている方で、以下の1から5のいずれかの条件を満たす場合に、御利用いただける制度です。
- 出願人が中小企業、個人、大学・短期大学、公的研究機関、又は承認もしくは認定を受けた技術移転機関(承認TLO又は認定TLO)であるもの
- 出願人又はそれらの実施許諾を受けた者が、その発明を実施している、又は早期審査の申請から2年以内に実施予定のもの
- 日本国特許庁以外の特許庁又は政府間機関へも出願している特許出願、又は国際出願している特許出願であるもの
- 環境関連技術に関する特許出願(グリーン関連出願)
- 震災により被災した者が出願した特許出願
Q03:学会や論文で発表をする予定ですが、発表内容について特許出願をしたい場合に注意することはありますか。
特許出願より前に公開された発明は新規性を失い、特許を受けることができません。
研究成果について特許出願を考えている場合は、発表前に特許出願することが大原則です。
論文発表については、論文の発行前(Webでの公開前)に、学会発表については、予稿集(要旨集)の公表前に出願をしなければなりません。
卒業論文等、学内で発表する場合も、配付物等に発表内容が「非公開」であることを明示し、発表会参加者や関係者と守秘義務を課す必要があります。
また、新規性喪失の例外規定の適用を受け6月以内に特許出願することで、特許を受けることが可能です。
この場合、第三者が同じ発明を独自に発明して先に特許出願又は公開していた場合には、特許を受けることができませんので、できるだけ早期に出願をすることが重要です。
海外への出願を予定している場合には、各国の国内法令によっては、自らの公開によって特許を受けることができなくなる可能性もあります。
Q04:自社で出願した発明を他社が実施しているようなのですが、どうしたらよいでしょうか。
特許出願をしただけの状態では、特許権は発生していないため、他社に発明の実施を止めさせることはできません。権利化のためには審査請求が必要となります。また、特許請求の範囲の記載が、他社の実施態様をカバーできているかを確認する必要があります。カバーできていないのであれば特許請求の範囲の補正が必要となります。
このように他社の実施を止めさせるためには、少なくとも他社の実施態様をカバーする権利を獲得することが必要であり、一旦特許権となった後には権利範囲の変更が原則認められませんので、できるだけ早い段階で代理人にご相談されることを推奨致します。
Q05:特許出願をする価値が高い発明とはどのようなものでしょうか。
特許となる発明に用いられている技術が高度であるか否かは特許の価値にそれほど影響致しません。むしろ、1)発明を使っていることが外から分かること(顕現性)、2)発明の代替技術が限られていること、3)自社又は他社での事業の実施可能性があることの方がより重要となります。仮に広い権利範囲の特許権を獲得できたとしても、それを使っていることが外から分からず、代替技術により容易に回避が可能で、事業に使われる可能性が無いものであれば、あまり意味のある権利とはいえません。
弊所では、単に権利化することではなく、如何に使える権利を獲得するかという観点から権利化事業をサポートさせて頂いております。
Q06:無駄な特許出願をしないためにできることはありますか。
特許出願の前に既に世の中に知られている技術(先行技術)と同じものやそれらから容易に思いつくレベルの発明は特許にはなりません。そのため、こうした先行技術を出願前に調査することで、無駄な出願を回避することができます。先行技術は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)において無料で検索することができます。弊所では、ご依頼頂く全ての出願につきまして出願前調査を行い、無駄な出願を回避するようにしております。
Q07:特許出願すれば必ず権利が取れるものでしょうか。
特許出願の場合、権利を取得するためには、特許庁の審査官による審査を経る必要があります。
このため、特許出願手続きに瑕疵がある場合や、出願以前に同様の技術が開示されている場合等は、権利を取得できません。
出願手続きに関しましては、特許事務所等に依頼することにより、滞りなく遂行できると思いますが、出願以前に同様の技術が開示されているか否かに関しては確認しておくことをお勧めします。
権利を取得するためには、「その技術が新しいこと」に加えて、「既に知られている技術から容易にその技術を形成できないこと」が必要であり、これらは、特許庁の審査官により厳密に審査されます。
このため、先行技術文献調査を行うことよって、既に世間に存在する他者の技術を確認することは有用であり、これを行うことで権利取得の可能性をある程度予測することが可能です。また、確認された他者の技術を避けて権利化を目指すことも選択肢の一つとなります。
無駄な出願をしないためにも、先行技術調査を行い、権利化の可能性を少しでも高めることをお勧めします。
弊所では、先行技術文献調査も賜っておりますので、ご相談下さい。
Q08:拒絶理由通知がきてしまいました。特許になる可能性は低いのでしょうか。
2014年度の「特許行政年次報告書」によれば、拒絶理由通知は、約90%の確率で出されるものであるものであるため、悲観的になる必要はありません。そして近年においては特許査定率が高まっており、その後の補正書、意見書の提出により、審査されたものは約70%の確率で特許査定が得られているという統計がでています。
Q09:拒絶理由通知がきてしまいました。どうすればいいのでしょうか。
原則としては、こちらから対応案を提示させていただきます。
拒絶理由通知の内容を対応案を踏まえて検討頂ければ、容易に対応ができると考えます。
特に、新規性、進歩性の拒絶理由通知の場合には、発明者からの専門的な観点で、挙げられた引用例との違いをご一緒にご検討頂けると、適切な対応が可能となりますのでご協力のほどよろしくお願いします。
また、自社製品の実施確保、他社製品に実施の抑止の観点で、対応の可否を検討頂けると、より事業に即した特許権の取得が可能となります。
Q10:特許の先行技術調査は必ずする必要がありますか。
調査結果は、特許を取得できるか(進歩性の要件をクリアできるか)の判断材料となるため、行うべきです。
調査結果を確認することで、他社の特許権を侵害してしまうという事態も防止することができます。
そのほかにも、他社の技術動向把握や研究の方向性決定などのメリットがあります。
上記のメリットは薄まりますが、調査方法がわからない場合や調査の時間がとれない場合等には、出願前提であることを条件として、弊所にて行っている安価な簡易調査をご利用頂くことも可能です。
この簡易調査は、他の事務所においてはあまり行われておりませんが、出願しない場合には、調査の実費に相当する金額をお支払いいただくのみの負担で、出願費用、審査請求費用を格段に抑えることができるというメリットがあります。
なお、侵害回避、事業計画策定等のための詳細な調査は、弊所提携の(株)技術トランスファーサービスにご依頼頂くこともできます。