特定登録調査機関制度をご存知ですか?

この制度は、2015年4月に改正され、出願から出願審査請求前(出願から3年間)に利用できる使い易い制度になっています。今回は、この特定登録調査機関制度について、簡単に説明したいと思います。特定登録調査機関制度は、端的にいうと「登録調査機関」の調査能力を民間に開放したものです。この制度を理解するには、先ず「登録調査機関制度」を理解し、この「登録調査機関制度」と同等の調査であることを認識することが、早道です。

特許庁は審査に必要な先行技術調査の一部を「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」に基づいて登録された「登録調査機関」に外注しており、先行技術調査の分野は技術分野毎(39区分)に分かれています(「登録調査機関制度」は2004年10月1日から始まりましたが、それ以前は「指定調査機関制度」として財団法人工業所有権協力センター(IPCC)だけが特許庁の外注先として先行技術調査を行っていました。民営化の流れの中で指定機関制度を廃止し、民活を利用して「登録調査機関制度」としたものです。)

登録調査機関の調査業務実施者資格は「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」に規定する独立行政法人工業所有権情報・研修館が行う「調査業務実施者育成研修(約2か月)」を修了後同法に規定される「調査業務実施者」となります(調査業務実施者は全国で約2600名程度)。審査では質の高い調査が行われ、特実検索業務用PC(所謂審査官用端末)に検索論理式を入力して調査を行いますが、調査する文献は、特許法第29条(新規性・進歩性)、第29条の2又は第39条(先願)の規定によって先行技術となりうる範囲にあり、かつ公開されている文献です。

調査によって抽出された文献のうち、調査報告の作成に資する文献を抽出するためスクリーニングを行い、当該抽出文献の必要箇所を精読し、ポイントとなる箇所が容易に分かるようにして、審査官に報告します。FI、Fタームを中心にテキストも併用し検索された文献をスクリーニングに最適化された環境でコンプリートサーチを心がけています。

このように「登録調査機関」で行われている調査を民間にも開放したのが、特定登録調査機関制度です。特定登録調査機関は登録調査機関でなければ、登録できません。これによって、「登録調査機関」で行われている調査を民間にも開放する、ということが担保されます。

2016年3月25日現在、登録されている調査機関は11機関ですが、このうち特定登録調査機関として登録され、活動をしている機関は3機関(IPCC、パソナグループ、技術トランスファーサービス)です。

なお、特定登録調査機関に関する具体的な説明は、上記3機関のいずれかにお問い合わせください。